兵庫県内の播磨灘で12日に解禁されたばかりのイカナゴ漁が14日、終わった。深刻な不漁続きで価格は高騰しているが、商店街では兵庫のソウルフードを買い求める客らが列を成した。「くぎ煮」の食文化を絶やすまいと、老舗も知恵を絞る。
「今年で終わり、と毎年…」
解禁2日目の13日、明石市の台所「魚の棚商店街」にある鮮魚店「松庄」では、午前7時前から客が並び始め、間もなく数十人になった。
午前10時前、水揚げされたばかりのイカナゴの稚魚(シンコ)が到着。1キロ8500円で販売が始まると、買い物客らが「3キロください」「私は4キロ」などと買い求めていった。
列の先頭にいた明石市の女性(69)は午前6時40分ごろに並んだ。解禁初日の12日に2キロを買ってくぎ煮を作ったが、これは遠方に住む息子家族や知人に送るためのものという。「自分の分が残らなかったから、また買いに来た」と笑った。
価格高騰が続く中、くぎ煮作りをやめようと思ったこともあるが、「貴重なものをありがとう」などと喜ばれると、つい送ってあげたいという気持ちになり、やめられないのだという。「明石に住んでいる限りは仕方がないと思っている。(価格の高騰に対して)もう度胸がついた。来年1キロ2万円になったら考えるけど……」
大阪府吹田市から来た女性(…