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近江との準々決勝の九回裏、金足農は斎藤のスクイズで三塁走者に続き二塁走者菊地彪も生還しサヨナラ勝ち。捕手有馬=2018年8月18日、阪神甲子園球場、水野義則撮影
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 高校野球にそれほど詳しくなくても、「金農(かなのう)旋風」といえば、「あの年の秋田のチームのことだ」と分かる人が多いだろう。

 2018年の第100回全国高校野球選手権記念大会。劇的な勝利を重ねて準優勝した金足農の活躍は、社会現象になった。

 破った相手が全国区の強豪ぞろいだ。

 鹿児島実、大垣日大(岐阜)、横浜(南神奈川)、近江(滋賀)、日大三(西東京)の5校すべてが、春か夏の甲子園大会で決勝を経験している。

 横浜との3回戦は八回に高橋佑輔の逆転3ランが飛び出し、翌日の準々決勝は近江を相手に九回、斎藤璃玖の2ランスクイズで逆転サヨナラ勝ち。

 漫画でもなかなかないドラマチックな勝利から中1日の準決勝は、エース吉田輝星(こうせい)(現オリックス)が終盤のピンチをしのぎ1点差で日大三を破った。

 第1回の秋田中(現秋田)が準優勝してから、東北勢が何度もはね返されてきた決勝の壁は厚く、大阪桐蔭(北大阪)の春夏連覇で幕を閉じたが、観客の多くは関西から遠く離れた秋田のチームに声援を送った。

 雪国にある県立の農業高校というだけが、応援したくなる理由ではなかった。

 秋田大会から甲子園の決勝まで3年生9人の不動のメンバーで戦った。文字通りの9人野球が王者に挑む姿が、見る人たちの心を打った。

 昨夏の甲子園。吉田の弟・大輝がエースのチームがあの夏以来の出場を果たした。初戦で敗れたものの、九回に4点を返す粘りを見せて甲子園を沸かせた。

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