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「人口減少より小ネタがなくなるほうがよくない」と話す玄田有史・東大副学長=2024年11月8日午後4時46分、岩手県釜石市、東野真和撮影

 社会の中での希望の意味とありかを探る「希望学」の研究者で東京大学副学長の玄田有史さんが8日、岩手県釜石市の釜石市国際外語大学校の学生2人のためだけに授業をした。キーワードは「夢」「緩いつながり」そして、小ネタを意味する「KNT」だ。

 女性2人のみが在籍している同校外語観光学科の学生を応援しようと、市が企画した。玄田さんは、2人に趣味や好物を尋ねながら、会話を楽しむように授業を進めた。

 まず「幸福の研究はあっても希望の研究はない」と考え、当時の新日鉄(現・日本製鉄)に勤めていた飲み友達の勧めで2005年から「鉄冷え」で衰退している釜石市で研究を始めた経緯を話した。そして同市の実業家が「夢を持ったまま死んでいくのが夢。夢を持ち続けてください」と中学生に語ったエピソードを「しびれるよね」と紹介した。

 また、濃い付き合いではない、「ウィーク・タイズ(緩いつながり)」の中で発見があり、人生が動き出すきっかけになると説き、「私と釜石も緩いつながりだ。自分と違うタイプの人と無理せずつきあってみよう」と勧めた。

 最後に、「今はやらせようとしているのはKNT理論」と切り出した。「小ネタ」のローマ字の頭文字を取ったと笑いながら解説し、「小ネタが町を元気にする。失敗を笑い話にできる人はかっこいい。希望を持っている人とはそういう人だ」と結んだ。

 授業を受けた2人は玄田さんに飲みに誘われ「まだ19歳です」と笑って断りながら、「自分たちも希望を持つことができた」「(ゆかりの小説家が多いことなど)地域活性化に新しいヒントをもらった」と喜んでいた。(東野真和)

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