現場へ! 地域おこし協力隊(1)
秋田市の南東約90キロにある人口2345人の秋田県東成瀬村に、20~30代の若者61人によるIT企業がある。
村が一部出資した「東成瀬テックソリューションズ株式会社」(なるテック)。社長以下全員、国の制度で村に移住した「地域おこし協力隊員」だ。
11月中旬、村地域交流センターに村民と隊員が約30人ずつ集まり、5、6人1組でテーブルを囲んだ。路線バスが来ない時間帯の移動を考えるワークショップだった。国の補助事業の一部が、なるテックに委託されている。
「村内で飲んだ後、家に帰る手段がない」と話す男性に、進行役の隊員・佐々木純一(29)は「予約制や村を循環する交通があればいいですね」とアイデアを出した。元アパレル会社員で、物腰は丁寧だ。
ITで地域活性化
雪深い2021年2月、隊員に応募した近藤純光(じゅんき)(35)が村で面接を受けた。首都圏でIT人材の育成・派遣会社を経営していたが、「過疎自治体と組めば活性化にも役立つのではないか」と場所を探していた。
近藤は「5年で100人の企業にする」と構想をぶち上げた。「こんな豪雪地帯に人材が集まるのか」と村幹部は首をひねった。
当時の担当課長で現村長の備…