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キーウで2025年5月30日、トルコのフィダン外相と会談するウクライナのゼレンスキー大統領(左から3人目)=トルコ外務省がSNSに投稿した画像から

 ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は30日、キーウでトルコのフィダン外相と会談した。ロシアが提案したトルコでのウクライナとの2回目の直接協議についての調整を行ったとみられる。ただ、ウクライナは現状では協議の実効性を疑問視しており、ゼレンスキー氏は会談後にも参加するかを明らかにしなかった。

 ロシア側は直接協議を6月2日に前回と同じイスタンブールで行う用意があると表明。前回5月16日の直接協議では、停戦条件を記した「覚書」の案を示すことで合意した。しかし、ウクライナが既に案を示したにもかかわらず、ロシアは2日に示す予定だとしている。ウクライナは、案を事前に示さなければ、次の協議での成果は期待できないと批判している。

 ゼレンスキー氏はフィダン氏との会談後、SNSに「ウクライナは(ロシアから)何の資料も受け取っていない」とした上で、「協議を意義あるものにするならば、議題を明確にし、交渉は適切に準備されなければならない」と強調した。さらに、「残念ながら、ロシアは次回の協議が何の成果もないようにするため、あらゆる手を尽くしている」と非難し、現状での協議への参加に疑問を呈した。

 ウクライナのシビハ外相も「次回の協議を有意義なものにするには事前に(覚書案を)受け取ることが重要だ」と述べた。

 ロシアは前回の協議で停戦をめぐり一切の譲歩を示しておらず、「覚書」案も同様のものになる可能性が高い。

 フィダン氏はキーウ訪問前にモスクワを訪れ、ラブロフ外相と会談している。トルコメディアによるとフィダン氏は29日、「ウクライナと欧州は米国の立場に柔軟に合わせている。ロシアも同様の柔軟さを示さなければ、米国から見て、不利な立場になるかもしれない」と指摘した。

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