北海道電力泊原発。手前から3号機、2号機、1号機=2025年3月22日、北海道泊村、朝日新聞社機から、角野貴之撮影

 原子力規制委員会は30日、北海道電力泊原発3号機(出力91.2万キロワット)について、再稼働に向けた安全対策が新規制基準に適合すると認める審査書案を了承した。敷地内の断層が活断層ではないことの証明などに時間がかかり、審査は過去最長の12年近くに及んだ。北電は2027年の再稼働をめざす。

 泊原発3号機は2009年12月に営業運転を始めた日本で最も新しい原発だ。出力91.2万キロワットは北海道内の電力需要のピーク(約500万キロワット)の2割近くをまかなえる。だが、東京電力福島第一原発事故で安全規制が強まったことで、12年5月の定期検査以降は止まったままだ。

 巨費を投じながら2年半しか動いていない3号機の再稼働は、北海道電力の「悲願」だ。北電は発電量の8割を火力発電に頼っていて、電気料金は全国で最も高い水準にある。斎藤晋(すすむ)社長は4月30日の決算会見でも「27年のできるだけ早期の再稼働に向け、安全対策工事を着実に進める」と改めて強調。3号機が再稼働すれば火力発電の燃料費が抑えられるとして、値下げするとも明言している。

 道内の電力需要が増えそうなことも、再稼働に期待をかける理由の一つだ。最先端半導体の量産化をめざす「ラピダス」が千歳市に工場を建て、ソフトバンクも苫小牧市に国内最大級のデータセンター(DC)を建設中。いずれも電気を大量に使う産業で、原発のような「脱炭素電源」が由来の電気が求められているという。

 一方、泊3号機の再稼働は、ラピダスが量産を開始する27年春には間に合わない見通しだ。北電は、いまの発電能力で当面は賄えるとするが、関連産業がさらに集まれば「脱炭素電源」の需要も高まるとみる。そのため、泊1・2号機も、30年代前半には再稼働させる青写真を描く。

待ち受ける知事と司法の判断

 ただ、規制委の審査を通過し…

共有
Exit mobile version