自宅と隣接するごみ集積所の場所を変えて欲しい――。長年、悪臭やごみの飛散などに苦しんできた住民が町内会にそう要望したが、総会で1対86で否決された。住民は同じ町内会の住民らを相手に、集積所へのごみ捨ての差し止めを求める裁判を起こした。裁判所はどう判断したのか。
原告は千葉市内に住む80代男性。2003年6月に今も暮らす一戸建てのマイホームを建てた。土地購入時には集積所との間には小さな緑地帯があったが、道路の拡張工事で男性が住み始める頃には、集積所は自宅に隣接した場所に移った。以来、20年以上その状態が続いてきた。
当番制で掃除するはずが
集積所には、ほぼ毎日ごみが捨てられる。利用者が1週間ごとの当番制で掃除をすることになっているが、特に夏場には悪臭があるほか、カラスや猫が荒らしたり、収集後にごみが捨てられたりすることもあった。当番が掃除をしないこともあり、そうした時は男性が片付けや掃除をした。
15年春、この集積所に近くの別の集積所を統合する話が持ち上がった。男性は状況がさらに悪化するとして拒否し、逆に近くの別の地点を示した上で自宅隣の集積所の移設を求めた。
だが、話は進まず、男性は町内会の臨時総会に移設を諮ったが、賛成1、反対86(委任状を含む)で否決された。
男性はさらに19年から複数回にわたり、改めてごみ集積所の移設を要望したが、町内会は応じなかった。
23年9月、男性は集積所を利用する20人以上を被告として、千葉地裁に提訴した。
訴訟で男性側は、20年以上にわたって集積所の悪臭、景観の悪化、ルール違反や不法投棄などへの対処を強いられており、「被害は甚大で極めて不公平だ」と訴えた。
被告の住民らは全面的に反論
一方、被告の住民側は、集積…