グラフィック・山市彩

「時をよむ」 論説委員室から

 「百日せき」は、せきが100日間続くことから江戸時代にそう呼ばれるようになったといわれる。戦後ワクチンが導入され、患者は激減したが、いまも流行を繰り返す。

 コロナ禍では年間数百人台まで患者が減ったが、今年はすでに6万人を超え、いまの方法で統計を取り始めた2018年以降で最多だ。人間の免疫とのせめぎ合いのなかで、一時的に抑え込んだところで、後できっちり借りを返してくる――そんなしたたかさを痛感する。

ワクチンはまだなく

 それに比べてマダニが媒介する「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」は、21世紀になって出現したと考えられる新しい感染症だ。11年に中国で、日本では13年に山口県で初めて感染者がみつかった。ワクチンはまだない。

 病原体のウイルスは、ふだん…

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