壱岐高校の応援に駆け付けた島民や出身者らで一塁側アルプス席はいっぱいになった=2025年3月20日、阪神甲子園球場、上沢博之撮影

 玄界灘の離島から甲子園初出場をつかんだ球児たちのプレーに、島ぐるみの声援が送られた。20日、第97回選抜高校野球大会の第3試合に登場した長崎県立壱岐高校(壱岐市)。球場のスタンドには島民らの大応援団が駆け付け、島ではパブリックビューイングも開かれた。

 東洋大姫路(兵庫)との試合が行われた20日午後、甲子園の一塁側アルプススタンドには、島民や出身者など3千人以上が駆け付けた。

 壱岐高校の生徒ら約260人は19日夕にフェリーで発ち、福岡市から9台のバスで車中泊しながら到着したという。

 試合は、壱岐が初回に2点を先取し、前半は優位に試合を進めたものの、東洋大姫路に五回に一気に逆転され、2―7で敗れた。

 先取点の場面では、人々が総立ちになり、メガホンを掲げて大歓声をあげた。吹奏楽部長の斎藤結衣さん(16)は「野球部のみんなを信じていた。本当にうれしい」。

 逆転された中盤。浦上脩吾投手の父、啓吾さん(53)は「東洋大姫路はやはり強い。あと少しのチャンスを待っている。それがくるまで辛抱してほしい」と祈った。

 同窓会長で、島で畜産業を営む永田宗広さん(69)は出身者らと合流して応援。試合後に「みんなが『甲子園で会おう』と集まり、応援する機会をくれた。点も取ったし、ようやった。選手にありがとうと言いたい」と声を詰まらせた。

 地元の「壱岐の島ホール」で開かれたパブリックビューイングには、島民ら約180人が集まり、地元の選手らの晴れ舞台を見守った。

 試合開始の2時間以上前から開場を待った江口節世さん(70)は「有名校と試合ができるのがうれしい。球場の人と同じ気持ちで応援します」。最前列で自作のうちわやポンポンを振った。

 一回裏の先取点など好プレーが続くと、会場は一気に最高潮に。家族で訪れた斎藤さやかさん(44)は「選手たちはこんな舞台でも落ち着いてプレーしていて、ただただすごいです」と喜んだ。

 五回表に連打を浴び逆転を許…

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