約24億年前の地球の海は青ではなく、緑だったかもしれない。そんな説を、名古屋大などの研究チームが科学誌ネイチャー・エコロジー&エボリューション(https://www.nature.com/articles/s41559-025-02637-3)に発表した。
24億年前に起きた大酸化イベント
緑色の張本人は、最も古い生物の一つ、シアノバクテリア。地球で最初に生まれた酸素を発生する光合成生物で、酸素に富んだ地球に変えた立役者だ。地球が誕生した当時、大気中の酸素の濃度は今の0.0001%ほどだったが、約30億年前に生まれたシアノバクテリアによって大気中の酸素が急激に増える「大酸化イベント」が約24億年前に起きた。酸素の濃度の上昇は、酸素を効率的に使う真核生物の登場を促し、生物の陸上進出の舞台が整った。
名古屋大の松尾太郎准教授(現・大阪大教授、宇宙生物学)らのチームは、この頃の海の状態をシミュレーションした。当時の海は、鉄と酸素が反応した酸化鉄が豊富だった。太陽光は、赤、緑、青という光の三原色が混ざって白に見えるが、水中ではその酸化鉄が青い光を吸収し、水が赤い光を吸収するので、海は緑色になっていることがわかった。
緑色の光を効率的に利用できた理由
だが現在の植物などは、青や赤の光を吸収するクロロフィル(葉緑素)で光合成をする。緑色の光を利用するにはより複雑な仕組みが必要で、生物には効率がよくない。シアノバクテリアは緑の光を効率的に利用できていたのか。
そこでチームは、通常は白の…