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障害者手帳をスマホの中にとりこんだ「ミライロID」の画面。開発には社長の強い思いがあった=1月、東京都品川区(画像の一部を加工しています)

 民間企業が開発したスマホの障害者手帳アプリの利用が広がっている。5年余りで300を超える自治体、4千余りの企業が「公認」した。障害のある人の心の負担を軽くしたい――。開発者には特別な思いもある。

 「こうやってかざすだけで(障害者として)認証されるんです」。2月中旬の日曜日、大阪府東大阪市の花園中央公園の駐車場で、会社員の吉本勇太さん(32)が精算機にスマホ画面のQRコードを読み込ませていた。

 24歳で建設作業中に転落し、脊髄(せきずい)を痛めた。下半身が不自由なうえ、握力も左手が4キロ、右手はゼロ。以前は、精算機に備えられた電話でコールセンターにかけて障害者の証明をしていた。

【動画】24歳の時、事故で大けがをした男性。当時はどんな思いだったのか=染田屋竜太撮影

 スマホアプリの「ミライロID」なら、表示されたQRコードを読み込ませるだけで、自動的に障害者割引が適用され、決済も含めて1分足らず。「手に力が入らない僕にとって本当に便利」と吉本さんは言う。

 アプリを開発したのは、ユニバーサルデザインを支援するコンサルティング会社「ミライロ」。障害者手帳は、身体障害者手帳、知的障害者向けの療育手帳、統合失調症などの人たちのための精神障害者保健福祉手帳の三つの総称で、都道府県、指定市、中核市がそれぞれ発行する。ミライロが数えたところ全国で計283種類あった。

【動画】スマホを使って障害者手帳の代わりにするというアプリ。実際どうやって使うのだろうか=染田屋竜太撮影

 手帳は紙製のため傷むこともある。紛失時の再発行には時間がかかり、引っ越せば新たに発行手続きが必要。それをスマホに入れてしまおうと2019年に「ミライロID」を開発した。

■手帳出すのに「すみません」…

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