のれんをくぐると、そこは1920(大正9)年創業の4代続く理容店だ。
神奈川県葉山町にある「山口理容店」は、父子2人が時間帯を分けて営業している。歴史がある調度品のなかで動画配信にも取り組み、懐かしさと新しさが同居している。
リーン、リーン。
葉山御用邸からほど近い幹線道路沿いにある店で、昔ながらの黒電話が鳴った。
「はい、今日はまだ午前中空いていますよ」
電話に出たのは3代目の山口昌男さん(76)だ。
店構えは一風変わっている。入り口にかかるのれんは「女 け 男」と書かれており、まるで銭湯のようだ。
「夏は桶(おけ)持って入って来るおやじがいる」。ひょうひょうとした表情で昌男さんが話す。
料金表に「電髪一万二千円」 電髪って?
店内にはいすが2台と大きな…