大阪市は8日、市職員が条例の規則で定められた期間を待たずに、3年半余りで路上の自転車約2200台を撤去していた、と発表した。不適切な撤去が組織内で慣習となっていた可能性があるとして、市は市内で2010年度以降に撤去された約150万台の自転車について調査を始める。
市条例は、自転車放置禁止区域外では7日を超えて路上に放置されている場合に撤去できると定めている。だが市によると、建設局中浜公営所(大阪市城東区)の職員は同所と十三公営所(同市淀川区)で勤務していた19年4月~22年10月、計2211台の自転車を7日を待たずに不適切に撤去し、業務報告書には7日以上放置されていたと虚偽の記載をしていた。市の聞き取りに対し、「市民の要望もあってできるだけ早く撤去した」と説明したという。
また市によると、この職員は自転車を撤去する時に防犯登録シールをはがし、大阪府警に盗難自転車かどうかの照会をしていなかったことも明らかにした。「壊れている自転車が多いので、わざわざ取りに来るのは不便だろうと判断してはがした」と話しているというが、何台はがしたのかはわかっていない。
この職員による不適切な撤去は部下など10人近い職員が関わっており、淀川区や旭区など市内6区で行われていた。一方市の調査では、この職員が関与していない不適切な撤去も確認。「こういった撤去が慣習化していた可能性がある」(市担当者)として、約150万台の自転車について確認するという。市は警察に相談をしており、外部有識者の意見も聞きながら処分や所有者への賠償を検討するとしている。
この職員は、部下に対して継続的にハラスメント行為をしたとして昨年6月に停職3カ月の処分を受けており、この調査の過程で今回の不適切な撤去が明らかになった。
放置自転車対策をめぐっては、禁止区域内では一定時間を過ぎると即日撤去しているほか、ミナミ地区では見つけ次第、警告・即撤去する「リアルタイム撤去」を試行実施している。(原田達矢)