(10日、春季近畿地区高校野球大会大阪府予選準々決勝 大阪桐蔭15―1堺東)
今春から初めてメンバー入りした大阪桐蔭の先発左腕、佐井川湧牙(ゆうが)(3年)が躍動した。
「回転数を意識している」と、最速142キロの直球の伸びで勝負する。一回に連打こそ許したが、真っすぐで押して5回1失点。15個のアウトのうち11個を三振で奪った。
昨年6月、練習中の走塁で転倒し、左肩を脱臼した。3カ月ほど投げることができず、走り込みやトレーニングばかりしていたという。
チームは昨秋の大阪府大会決勝で履正社に敗れて準優勝に終わった。また近畿大会は1回戦で滋賀学園に負け、6大会連続の選抜出場(2020年の中止を含む)も逃した。
「新チームでもメンバー外になって悔しくて、近畿大会はスタンドから見ていて、もっと悔しかった」と佐井川。冬場に投げられるようになってからはフォーム固めに集中。体が開かなくなると、指先までしっかりと力が伝わるようになった。
年が明けて練習試合で結果を残し、今大会前に初めて背番号「11」をもらった。あまりのうれしさで「体が震えました」。友人や家族、中学時代の指導者など、思いつく知り合い全員に報告したほどだ。
チームメートには森陽樹、中野大虎といった最速150キロ前後を誇る同級生がいる。ともに昨季のチームから甲子園で活躍した世代を代表する投手たちだ。
佐井川は「自分より上だし、2人がおってチームができていると思っている」と控えめだ。「その後ろに僕がいて、しっかり2人を支えて楽に投げさせてあげたい」と話す。
謙虚な3年生左腕に対し、西谷浩一監督の期待は大きい。
「コントロールもリズムも良い」と評価し、「左ピッチャーが欲しいところで頑張ってやってくれている。中野、森だけじゃなく、(2人と)一緒に投げられるくらいになってほしい」。
リベンジを目指す大阪桐蔭にとって、佐井川の活躍が鍵になりそうだ。