第106回全国高校野球選手権大会第4日の10日、6年ぶり8回目の出場となる木更津総合(千葉)が登場し、第2試合で神村学園(鹿児島)と対戦する。初戦を控えた9日、3年生のマネジャー2人も全力で選手たちをサポートしていた。
この日の練習会場は兵庫県伊丹市の野球場。暑さの中、マネジャーの山口由愛さんと吉田妃莉さんは容器に飲料水を補充するなどしていた。
中学時代から顔見知り
2人は中学時代から顔見知りだった。学校は違うが、ともにバレーボール部員で、両校の監督同士が仲がよく、頻繁に練習試合をしていた。
高校入学時、山口さんには、野球部の3年に兄がいた。一方、吉田さんにも同校卒業生で野球部出身の兄がいた。コロナ禍で選手権大会が中止になったが、県の独自大会で優勝した代で、4学年上だ。2人は迷わず入部を決めた。
2人は信頼しあっている。山口さんは「性格も、好きなタイプとかも正反対なんです」としたうえで、「私はおしゃべりだけど、(吉田さんは)聞き役で大人っぽい。私はミスが多いけど、いつもカバーしてくれる」。吉田さんは「タイプが違うからこそ、パズルみたいになるのかな。補いあえるニコイチです」。
初戦の記録員は吉田さん、ベンチ入り
初戦のベンチには、吉田さんが記録員として入る。吉田さんには家庭裁判所の調査官になるという夢がある。希望する大学への進学には英語検定の得点が必要で、試験日は15日。初戦に勝てば、2戦目がその日だ。
くじで組み合わせが決まった日に2人で初戦の記録員を決めた。
初戦のベンチ入りを譲る形となった山口さんだが、甲子園に立つのは夢でもある。木更津総合で甲子園をめざした兄、同校前身の木更津中央出身の父らに囲まれて育った。「野球は生活の一部。いつの間にか甲子園は私の夢にもなっていた」
山口さん「初戦は絶対勝って」、主将「当たり前だろ」
山口さんは8月14日が誕生日。宿舎での朝食のとき、捕手の羽根徹平(3年)や主将の川上泰輝(3年)に「私の誕生日プレゼントのために初戦は絶対に勝って。プレゼントは試合でいい」と声を掛けると、頼もしい言葉が返ってきた。
「当たり前だろ」
山口さんは「ベンチにいなくても気持ちは一緒。一番声出します」。当日ベンチに入る吉田さんは「マネジャーがバタバタしたら、緊張が選手に移ってしまう。いつも通りやって明るくしようかなと思っています」。
10日は、負けられない。(杉江隼)