「この辺の木に車がひっかかって助かったんです」と振り返る佐藤菜々虹さん=2025年2月27日、福島県いわき市平藤間、西堀岳路撮影 3月11日に生まれ、4回目の誕生日に家族と車ごと津波に流されて、助かった。「自分が生まれた日付とあの体験が、私の生き方を運命づけたと思う」 東日本大震災が起きたとき、幼稚園児だった福島県いわき市の高校3年生佐藤菜々虹(ななこ)さん(18)がこの春、夢を目指して進学する。 100メートルほど離れた海に沿った県道。地震からしばらくして、父が運転するワゴン車は前方から来たパトカーに止められた。「津波が来る。Uターンして」。警官に言われ、父はハンドルを切った。 突然、車が揺れだし、傾いた…