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航海実験で台湾東岸を出発した丸木舟=2019年7月7日、海部陽介さん提供

 人(ホモ・サピエンス)はどうやって海を渡り日本にやってきたのか――。現在より流れが速い3万年前(旧石器時代)の黒潮を横切り、台湾から与那国島(沖縄県)までを当時の人たちが丸木舟で渡ることも可能だったと、東京大と海洋研究開発機構、愛媛大などの研究チームがシミュレーション分析し、国際科学誌に発表した。6年前に実際の航海実験に成功していたが、3万年前の海流条件をスーパーコンピューターで再現したところ、出航した場所を変えて、舟をこぐ方向を工夫すれば成功率が高まると試算された。

 沖縄県から鹿児島県にかけての島々には3万5千~3万年前ごろの旧石器時代の遺跡が点在していて、人が台湾やフィリピン方面から海を渡ってきたと考えられている。どう渡ってきたのかの解明をめざす「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」(国立科学博物館主催)は2019年7月、約200キロの航海実験を実施。台湾東岸から与那国島までの航海を約45時間かけて成功させた。シーカヤックのガイドら男女5人が太陽や星で方角を探りながら、全長7.5メートルの丸木舟を進めた。舟は石おのなど3万年前の道具を使ってつくった。

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実験で使用した旧石器型石おの=海部陽介さん提供
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直径1メートルのスギを旧石器型石おので伐採して丸木舟をつくった=海部陽介さん提供

黒潮の存在、知っていた?

 実験では、南から北方向へ流…

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