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インタビューに応じる黄益平・北京大国家発展研究院教授=2024年7月12日、北京市、鈴木友里子撮影
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 中国共産党が今後の政策方針を示す重要会議の第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)が15日に北京で始まりました。過去に中国経済の方向性を決定づける節目ともなってきた会議は今回、山積する課題にどのような答えを示すのでしょうか。北京大学国家発展研究院の黄益平教授に聞きました。

 ――中国経済をどう見ていますか。

 現在の中国経済はやや力強さにかけています。今年4~6月の国内総生産(GDP)は、物価の影響を除いた実質成長率が前年同期比4・7%でほぼ目標通りではあります。

 ですが、企業や市場関係者はそこまで楽観的に受けとめていないようです。名目の成長率はデフレの影響で4・0%にとどまります。収益は名目との関連性がより強いので企業にとって成長実感が乏しいのです。

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 ――現在の国際情勢は中国経済にどのような影響を与えているのでしょうか。

 地政学的な環境の悪化や対立の激化は、中国の対外的な経済活動の発展に資するものではないことは確かです。特に、米国による(半導体などのハイテク分野の)制裁で、一部の経済活動に制限が出ています。もちろん国内の経済活動にも影響があります。

 改革開放後の20~30年間は、主に輸出拡大や対外投資など対外的な経済サイクルで成長しました。ですが、経済が一定の規模に拡大した後、貿易だけで成長を促進するのは容易ではありません。ここ数年、中国政府が海外だけでなく内需の拡大による経済循環という考え方を打ち出しているのはそのためです。

 ――経済が変調をきたすなか、3中全会が始まりました。改革への期待は高いようです。

過度な期待は禁物、そのわけは

 経済はいま困難に直面してお…

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