もろみを入れた杉おけは創業時のものも。ぷくぷくと音を立てて発酵が進む=三重県伊賀市島ケ原
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 男性に頼った重労働や残業時間。課題を抱えた伝統産業に魅力を感じてもらうにはどうすれば。創業百数十年になる三重県伊賀市の老舗醬油(しょうゆ)会社が、働き方やデジタル・機械化の「改革」を進めると――。

「あなたが社長をやった方が…」妻に提案

 「福岡醬油店」は、伊賀市島ケ原の緑豊かな山里にある。1895(明治28)年の創業で、醸造蔵や「キリン式圧搾機」は国の登録有形文化財だ。蒸した県産の丸大豆と小麦でこうじを作り、塩水とともに杉おけに入れて1年以上発酵させる。このもろみを、キリンの首のように長い丸太棒の圧搾機で搾ると完成。蔵にすみ着いている酵母菌が熟成に深みを加え、万能しょうゆ「はさめず」はまろやかなうまみで評判になっている。

 だが、ほとんどが手作業で、1・8リットル入りの重い瓶運びや圧搾の作業は男性の力が頼りだ。冬場のこうじ作りは一晩に数回起きて温度などの確認も必要になる。

 「あなたが社長をやった方が…

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