ボートに衝突し、3人が死傷した猪苗代湖の現場付近=2021年9月3日、福島県会津若松市、上田真仁撮影

 福島県の猪苗代湖でモーターボートを操縦し、小学生ら3人を死傷させたとして業務上過失致死傷罪に問われた元会社社長の佐藤剛被告(47)の控訴審判決で、仙台高裁は16日、禁錮2年とした一審・福島地裁判決を破棄し、無罪を言い渡した。

 事故は2020年9月6日午前11時ごろ起きた。被告のボートが、マリンレジャーの順番を待つため湖上に浮かんでいた豊田瑛大(えいた)さん(当時8)ら3人と衝突。瑛大さんが死亡し、母親も両足を切断するなど2人が重傷を負った。

 23年の一審判決は、事故現場が陸地から近いことなどから、「浮かんでいる人の存在を具体的に予見でき、衝突すれば人を死傷させることも予見できた」などと判断。その上で、被告が見張りを十分にしていれば水面に瑛大さんらを認識できたとして、「事故を回避できたのは明らかだ」と結論づけていた。

 被告側は控訴審で、「被害者の浮遊場所を正確に特定できたといえる客観的な証拠はない」などと反論。「被告は針路の安全確認を行いながら船を前進させ、被害者らが死角に入るまで何らの不注意もなかった」と無罪を訴えた。

 瑛大さんの両親は控訴審で、「(事故から)4年が経過しましたが、いまだに瑛大との思い出を振り返ることもできていません」などとする意見陳述書を提出し、一審と同じ実刑判決を求めた。

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