神話に登場する「天孫降臨」の地と言われる霧島連山・高千穂峰(1574メートル)で、山小屋(現避難小屋)を祖父の代から管理してきた石橋晴生さん(75)=宮崎県高原(たかはる)町=が「峰守」を引退した。
駆け下り何度も往復した山道。自殺しそうな人への声かけ、捜索………。3代にわたり登山者の安全に貢献したとして町から感謝状を受けた石橋さんは、1世紀におよぶ山と石橋家のかかわりを振り返った。
石橋さんや町によると、祖父国次さんが1924(大正13)年、最初の山小屋を建てた。事業が不運続きでうまくいかず、信仰的な思いから「山ごもり」を始めたという。
34(昭和9)年に現在と同じ山頂に小屋を移した。自殺しようとする人や遭難者を助けるうちに山を案内する「峰守(みねもり)」として知られるように。戦中は出兵前の兵隊が祈願に上がってきた。彼らの写真を撮って生活の足しにもしていた、と石橋さんは聞いた。
「勝負は下りのスピード」
石橋さんは子供の頃から手伝いをさせられ、小学3年の頃には登山者を案内して登った。
サイダー6~7本を持って山…