オーストラリアは、人口増加や経済成長などを目的に、半世紀以上にわたり積極的な移民政策を続けてきた。今や総人口の4人に1人以上が海外出身者となるまでに、移民は社会に溶け込んでいる。一方、住宅価格の高騰が社会問題となる中、その一因として移民がやり玉に挙げられ、反移民デモが各地で起きるなど、新たなあつれきも生まれている。
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「生活に不満は全くない。できればずっとこの国にいたい」
19世紀半ば「ゴールドラッシュ」で移民が押し寄せ、多文化都市として知られる南部メルボルンで、空港から乗ったタクシーの運転手、クマルさん(27)はこう話した。
クマルさんはインド出身で、2019年に移住。本業は鉱物採掘で、タクシー運転手は副業だ。情報学修士を生かせる仕事を探している最中だが、「鉱物採掘もタクシーも社会に欠かせない。そして、いずれも移民なしでは成り立たない業界だ」とする。
豪州統計局によると、24年時点で総人口に占める外国出身者は約31.5%に上る。国民の約半数は両親のいずれかが海外出身だともいう。
1981年に約1500万人…