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東海大熊本星翔―北海 試合に敗れ、アルプススタンドへあいさつする北海の選手たち=関田航撮影
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 第107回全国高校野球選手権大会に出場した北海の全国最多の41回目の夏は、1回戦で終わった。しかし、劣勢を強いられた甲子園での戦いの中で、3年生たちは確かな足跡を残した。準優勝した2016年夏の、その先への挑戦は新チームに引き継がれる。

 北海の現チームは「下級生主体」と言われてきた。しかし、7―10で敗れた東海大熊本星翔戦では3年生が粘り強さを発揮した。

 南北海道大会でけがから復帰した佐藤瞭磨主将(3年)が攻撃を引っ張った。二塁打2本を含む3安打2四球と全5打席で出塁。1番打者の役割を果たした。

 このほかの3年生では、平川敦監督に「打線のキーマン」と言われた3番打者の桜井悠也二塁手(3年)は、五回2死から一時同点に追いつく適時打を放った。南大会では打率1割台と打撃が不調だった吉井天星遊撃手(3年)も、八回2死から適時打を放った。

 昨春の選抜大会以来となる約500日ぶりの甲子園のマウンドで、この夏初登板となった松田収司投手(3年)は、救援で打者9人を最少失点に抑えた。出口徳太郎選手(3年)は代走出場で盗塁を決め、本塁も踏んだ。九回2死の土壇場で代打で打席に立った新谷悠太選手(3年)は、安打でつないだ。南大会では目立たなかった3年生たちが、甲子園で光った。

 一方で、南大会は6試合で計3失策と堅守を誇ったチームが5失策。守備の乱れは痛手だった。天候不良の中、グラウンドの重い土に足を取られる場面があった。吉井遊撃手は「思うように体が動かなかった」と明かした。

 南大会では25回あまりを投げ防御率0.36と抜群の安定感だったエースの浅水結翔投手(3年)も「普段はエラーをしても大丈夫なのに(甲子園では)焦ってしまった」と振り返った。平川監督は「状況に応じたプレーができなかったのは、力不足」と認めた。

 先発出場した9人のうち下級生が5人を占めたのは新チームに向けた収穫だ。2年生の3割打者のうち、長南凜汰郎捕手(2年)、三沢拓己一塁手(2年)、佐竹徠都中堅手(2年)がいずれも1安打を放った。南大会決勝で満塁本塁打を放った佐竹中堅手は、6点差で迎えた八回の先頭でつなぐ打撃に徹し、ヘッドスライディングで内野安打をもぎった。

 先発した森健成投手(1年)は、高校入学から4カ月で聖地のマウンドに立ち、自己最速となる球速147キロを記録した。再びめざす日本一へ向け、下級生が敗戦のなかで得た経験をいかしたい。

 最後に、甲子園でも八回3点差まで追い上げる持ち前の「終盤の粘り」を見せた北海の原動力は何だったのか。佐藤主将は「『終盤だから』と意識しているわけじゃない」と明かしたことがある。

 「自分たちは力のないチームだと自覚している。だから日々の練習ではどんなに苦しくても、全員で最後まで全力でやりきることを徹底してきた。その気持ちの差が、終盤に出るのだと思う」と佐藤主将。試合後、平川監督は「最後によく粘りを見せてくれた」とねぎらった。

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