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適時打を放って雄叫びを上げる湘南台の山口=2025年7月9日午前11時7分、サーティーフォー相模原、三木一哉撮影

(9日、第107回全国高校野球選手権神奈川大会1回戦、鶴見大付6―4湘南台)

 「みんなについていくだけで精いっぱいだった。最後にかっこいいところを見せたかった」

 九回表、4点差を追う湘南台は1死二塁。久々のチャンスに山口碧仁(あおと)(3年)が打席に立った。

 「つなぎたかった」

 カーブが真ん中に入ってきた。振り抜いた打球は右前へ。二塁走者が生還した。塁上で思わず腕を上げ、大声を上げた。

 中学時代はバドミントン部員。高校に入って初めて野球を始めた。1年の級友だった森賀大成主将(3年)の誘いで野球部に入った。

 「勝手に名前を書かれて部員にされたんです」

 チームスポーツならではの仲間と力を合わせて戦う楽しさを味わった一方、守備の難しさに苦しんだ。苦手なことこそ、たくさんやって身につけようと、すすんで外野ノックを受けた。

 1年秋に一度レギュラーになったが、野球経験者の新入部員にポジションを奪われ、悔しい思いもしたこともあった。

 森賀主将は「苦労も多かったと思うけど、あきらめずにがんばった。今日の山口はかっこよかった。感謝しかない」とねぎらった。

 山口選手は「3年間の自分の積み重ねを出し切ったけれど、後輩たちに勝ちを体験させられなくて悔しい」と涙を流していた。

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