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インドの首都ニューデリーで2024年6月4日、出迎えた支持者に手を振るモディ首相=AP
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 4日開票されたインド総選挙(下院、543議席)は、モディ首相のインド人民党(BJP)が率いる連立与党が過半数を獲得したものの、大幅に議席を減らし、BJP単独ではモディ政権発足後の10年で初めて過半数を割り込んだ。カリスマ的人気を背景に、急進的な政策を進めてきたモディ氏の求心力にかげりが見えたことで、3期目の政権運営が不安定なものになる可能性がある。

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 地元誌インディア・トゥデーなどによると、5日までに全議席が決まり、与党連合は292議席で過半数を維持したが、BJPは前回の303議席から240議席に大幅に減らした。

 一方、前回は52議席だった最大野党国民会議派は、今回は99議席とほぼ倍増。野党連合全体で234議席となった。

 4日夜の演説でモディ氏は「国民は我々に全幅の信頼を寄せた。世界最大の民主主義国の勝利だ」と勝利宣言した。連立各党は5日、首都ニューデリーに集まりモディ政権3期目の陣容を話し合った。ただ、BJPが単独過半数に届かなかったことで、モディ氏は連立相手の要望に配慮せざるを得なくなり、人事や政策面で妥協を迫られることが確実だ。

改革に黄信号、株価は急落

 地元紙ヒンドゥーは、BJPと連立を組む与党第2党テルグ・デサム党(16議席)のナイドゥ氏と、第3党ジャナタダル統一派(12議席)のクマール氏の地域政党の党首2人が「今後のキングメーカーになる」と指摘する。ともにBJPとの連立離脱や、野党側に接近した過去があり、再び離反すれば政権維持が困難になる。

 貧困対策に重きを置く地域政党が連立内で存在感を増すことで、市場重視で痛みを伴う経済改革をいとわなかったモディ氏の路線が修正を迫られる可能性が現実味を帯びる。与党の伸び悩みが明らかになった4日、インドの株価はコロナ禍の2020年以来、最大の下げ幅を記録した。改革の行方への不安が一因とみられている。

 一方、野党・国民会議派のラ…

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