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広島地方裁判所=広島市中区

 3歳の男児の手足を粘着テープで緊縛したとして、祖父(52)と母親(26)が起訴された事件。母子は昨年、広島市内の祖父宅に転居してきたが、市はこの家庭の養育状況を、男児が病院に運ばれた今年1月まで把握していなかった。母親は男児を含む未就学児3人と転入してきており、専門家は「未就学児3人を育てる負担は大きい。市は状況を確認する必要があった」と指摘する。

 18日にあった初公判で、検察側は事件に至る経緯について、次のように説明した。

 母子4人は昨年5月ごろ、祖父の病気のため、九州から祖父宅に転居した。3人の子を育てる母親は大学在学中、子どもを妊娠して中退していた。

 5人で生活するなか、男児は家の壁やドアをたたいたり、夜中に大声を出したりするようになった。祖父と母親は対応に困り、祖父は昨年8月ごろ、騒いだ男児の両手足や口をテープで塞ぎ、男児が騒いだ時は同様の対応をするよう母親に指示した――。

 事件が発覚したのは今年1月。意識もうろう状態の男児が病院に運ばれ、県警に連絡が入った。

 起訴状によると、祖父と母親は昨年9月、粘着テープで男児の両腕と両足首を約5時間半縛り、同年10月も粘着テープで両手などを約20分間縛ったとされる。祖父と母親は初公判で起訴内容を認めた。検察側は、搬送された男児は低栄養状態で、脳が萎縮していたと指摘した。

児童委員「未就学児3人、知らなかった」

 こうした事態を未然に防ぐこ…

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