朝日新聞のインタビューに答える安住淳・衆院予算委員長=2025年2月18日午後4時56分、国会内、大久保貴裕撮影

 国会の予算審議が大詰めだ。少数与党のもと、予算委員会では例年にないことが起きている。予算案を細かくチェックする「省庁別審査」の導入。そして、全会一致が原則の参考人招致を、多数決で決めた。

 省庁別審査は、予算について国会として細かくチェックする取り組みとして前向きな評価が多い。参考人招致をめぐっては、出席を求められている自民党安倍派の会計責任者(当時)が出席に応じていないことから、非公開での聴取という異例の対応で調整が進む。れいわ新選組や共産党は理事ではないため聴取に参加できず、このことへの批判もくすぶっている。

 30年ぶりに野党から予算委員長のポストに就いた安住淳氏(立憲民主党)に、少数与党のもとでの委員会運営について聞いた。

 ――自民党安倍派の会計責任者(当時)の松本淳一郎氏の参考人招致を多数決で議決したのは、全会一致の慣例を破るものだった。なぜ議決を決めたのか。

 多数決はやむを得なかった。自民が反対だからと、参考人招致の議決をしなかったら、委員長である私に対する批判はもっとひどかったのではないか。

 民間人に対して同じような対応をするつもりはない。自民は松本氏を「民間人だ」というが、党の派閥の事務局長だ。

 ――国会ではなく、都内のホテルで非公開で行うなど、松本氏の意向に配慮した形式での実施を判断した理由は。

 過去をみると(招致の後に)刑事事件になっていく例が多い。(リクルート事件をめぐり、衆院税制問題等特別委員会が入院先で聴取した)江副浩正・元リクルート会長は聴取から発展していった。

 しかし松本氏は、江副氏らのケースと逆。すでに刑事事件としての刑罰が決まっている。政治倫理審査会での安倍派幹部らの発言を確かめるために話をきかせてもらうので、意向に配慮せざるを得ない。

 聴取の形式を決める事情はケースによって違う。私は今回はこういうやり方が適切だと思っている。参考人聴取の機会を潰すわけにはいかず、ギリギリの判断だった。

 ――れいわ新選組や共産党は聴取への出席を求めているが。

 私も松本氏側に何とかできないかと頼んだが、先方は正規の議決権がある理事のみを望んでいた。大変申し訳ない気持ちはあるが、ここまでの調整を打ちきりには出来ず、前に進めるために、私の責任で決めた。

 ――かつて派閥の会長を務めた森喜朗・元首相にも聴取するべきだとの意見もある。

 実際に呼んで話を聞かなくてはならない実態があるかというと、そうではない。雲をつかむような話ではダメで、誰であろうと実際に法と証拠に基づいて呼んだ方が良い。軽々しく参考人招致や証人喚問なんてやるものではない。

 ――今回、予算委員会では、省庁ごとに政府予算案の中身を細かく点検する「省庁別審査」を導入した。その狙いは。

 昨年秋に予算委員長になった…

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