熊本県御船町の地層から約30年前に見つかった翼竜の化石が、国内発見の化石では初の新属・新種と判明したと13日、町恐竜博物館や熊本大、北海道大などの研究チームが発表した。「ニッポノプテルス・ミフネンシス(御船産の日本の翼)」と命名された。同博物館で公開中。
発表によると、化石は1996年に同町のダム上流の河床にある後期白亜紀(1億50万年前~6600万年前)の地層から見つかった頸椎(けいつい)骨。ただ、当時は翼竜の化石記録が少なく、系統を明らかにできなかった。
今回、研究チームがCTスキャナーなどで得られたデータと、他の翼竜の特徴を検証した結果、首が長い翼竜で「アズダルコ科」の新種と分かった。約9000万年前の化石で、後期白亜紀後半に北米に生息した大型翼竜ケツァルコアトルスなどの近縁にあたるという。その研究論文が今年3月、学術誌「クリテイシャス・リサーチ」に掲載(https://doi.org/10.1016/j.cretres.2024.106046)された。
アズダルコ科は、後期白亜紀に出現し、アジアやアフリカ、南北アメリカなどに分布。骨格が細くきゃしゃなため、化石の記録は多くはなく、国内では北海道や岩手県、兵庫県、長崎県などの断片的な化石が知られるのみで、新種として命名されるものはなかったという。
国内の翼竜化石は今も少ないが、御船町の地層から複数が見つかっており、研究チームは更なる化石の発見も期待される、とする。