海運会社の男性社員が2019年に自殺したことをめぐり、長時間労働とパワーハラスメントが原因だったとして、遺族が勤務先の「福永海運」(大分県佐伯市)と上司に損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、福岡地裁であった。林史高裁判長は、同社による安全配慮義務違反などを認め、同社と上司に約6600万円の支払いを命じた。
判決によると、瀧本明範さん(当時30歳)は2014年、同社に入社し、船舶の管理業務を担当していた。
だが、死亡前1カ月の時間外労働が43時間を超えていたほか、休日でも時間を問わず、船舶のトラブル対応をすることが求められていた。また、上司からは「ナマケモノ」「あなたを必要とする理由が見当たりません」といったメールを送られていた。そうした中、瀧本さんは2019年4月に自殺。2021年4月、佐伯労働基準監督署は労災を認定した。
判決は、会社と上司が「業務の量などを調整するなどして、心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を尽くさなかった」と指摘。上司によるメールに関しては「業務上の必要性がなく、社会的相当性を欠く不適切なものであった」などと認定した。
判決後、福永海運は「判決内容の詳細を確認できておらず、コメントは差し控えさせていただきます」とコメントした。
代理人弁護士、判決は「画期的」
判決後、代理人弁護士と遺族が記者会見を開いた。
代理人の光永享央(たかひろ…