ロシアがウクライナへの侵攻を開始してから、2月24日で3年となりました。この間の推移をどうみるか。侵攻開始前から昨年10月まで駐ウクライナ大使だった、松田邦紀氏に聞きました。
- 米国の「ウクライナ離れ」が顕著に
――ロシアによるウクライナへの侵攻が始まって、3年になります。
起こる必要もなければ、起こってはならないロシアの侵略戦争が、不幸にも3年続きました。ウクライナの人的、物的被害はきわめて大きいです。この間ウクライナでは、東部の人も西部の人も、ロシア語を話す人もウクライナ語を話す人も、みなが団結して国の防衛にあたり、助け合いました。ただ3年も経てば、社会に疲れはでてくる。いまだ国外に600万人が避難しています。国民の間に将来への不安が全くないといえば、うそになります。
――この間のゼレンスキー大統領への評価は。
ゼレンスキー氏は侵攻翌日の2022年2月25日、国民に対して「自分たちはここにいる」と動画で発信し、国外に逃げない姿勢を示しました。これで多くの国民の気持ちが奮い立ちました。欧州連合(EU)への加盟交渉も始まり、ウクライナの慢性的な問題だった汚職への対策も進めた。危険をかえりみずに自ら前線に行き、世界中でウクライナの立場を説明して回りました。国民もそういう点は評価していると思います。
ただ、疲れはあるのでしょう。戦争が始まる前の21年12月、大使の信任状奉呈式で会ったときはエネルギッシュな若者という印象でしたが、退任に際して最後に会ったときは、悲しみや怒りが深く表情に刻み込まれていると感じました。
――3年間で、ウクライナの政治や市民の、侵攻終結に対する姿勢に変化を感じましたか。
侵略戦争が始まってすぐ、国…