「1人になれるのは風呂とトイレだけ。プライバシーがない状態は精神的につらい」。石川県輪島市の会社員女性(60)は義母(84)と、1Kで4畳半の仮設住宅に暮らしている。
仮設住宅は2階建てで、部屋は急な階段を上った2階にある。部屋に入ると目の前に2台のベッドが並び、空きスペースはほとんどない。
左手に台所があるが、その前にしか電子レンジや炊飯器を載せた棚を置く場所がなく、電気コンロを横向きにし、手を伸ばして使う。右手にはテレビを載せた細長い台があり、女性はそこを食卓にし、義母はベッドに腰掛けて食べる。
夜8時ごろ、義母が寝ると明かりを消し、首かけ式のスピーカーで、斜めからテレビを見るのが唯一の息抜きだ。それも義母が起きないか気になって1時間ほどで消し、早いうちに眠りに入る。
女性は約20年前に夫を病気で亡くし、昨年1月に能登半島地震が起きるまで、義母と2人で約1キロ離れた山あいにある、広さ300平方メートル弱の木造2階建て住宅で暮らしていた。近くに畑があり、義母は野菜を育て、売ることを大きな楽しみにしていた。
地震で自宅は壁が崩れて屋根の一部が落ち、大規模半壊と判定された。避難所や小屋で暮らしたあと、昨年9月に仮設住宅に入居した。
狭いけど、断ったら…
「2人で暮らすには1Kは狭…