厚生労働省は5日、4月分の毎月勤労統計調査(速報)を発表した。物価の影響を考慮した働き手1人あたりの「実質賃金」は前年同月より0.7%減り、過去最長を更新する25カ月連続減となった。歴史的な高水準になった今年の春闘の賃上げが反映され始めたが、物価高にはいまだ追いついていない。
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労働者が実際に受け取った名目賃金にあたる現金給与総額は、2.1%増の29万6884円だった。一方、実質賃金の計算に使う4月の消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が2.9%上がり、この物価上昇分を差し引いた実質賃金はマイナスとなった。
基本給は30年ぶりの伸び率
現金給与総額のうち、基本給などの所定内給与は2.3%増の26万4503円で、1994年10月以来、約30年ぶりの伸び率となった。連合による今春闘の中間集計では、定期昇給を含む正社員の賃上げ率は平均5.17%と、33年ぶりの高水準を記録。厚労省は、今春闘の結果が反映され始めたほか、こちらも高水準だった昨年の春闘が労組のない企業に波及して4月分の給与に反映されたとみている。
賞与を含む「特別に支払われた給与」は0.6%増の1万2200円だった。
現金給与総額を就業形態別にみると、フルタイムの一般労働者は2.0%増の37万8039円、パートタイム労働者も2.0%増で10万8358円だった。(宮川純一)