高齢者の車にひかれ、女児が死亡した市立釧路総合病院の出入り口付近。事故翌日から車両進入防止の柵を設置し、警備員を配備。駐停車は禁止となった=2023年10月、北海道釧路市

 北海道釧路市の病院の駐車場で昨年10月、歩行者2人を乗用車でひいて死傷させたとして、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた根室市宝林町2丁目、無職熊谷勉被告(78)の判決公判が10日、釧路地裁であり、井草健太裁判官は禁錮1年8カ月執行猶予3年(求刑禁錮1年8カ月)を言い渡した。

 判決などによると、熊谷被告は昨年10月17日、市立釧路総合病院の一般外来用出入り口付近で、ブレーキとアクセルを踏み間違えて母子をはねた。さらに不用意にバックして女児(当時4)をもう一度ひき、出血性ショックで死亡させ、母親に全身打撲の大けがを負わせた。妻の運転で病院に到着したが、妻が病院に向かったため運転を代わった直後だった。

 熊谷被告は法廷で、運転技術の衰えから事故の約1年前から免許返納を考えていたなどと証言。所有する車を処分し、今後運転しないと話していた。

 井草裁判官は「愛すべき大切な娘の命を目の前で失った母親の悲しみや精神的な苦痛が大きいのは当然で、厳罰を望むのも十分に理解できる。他方、今後は自動車の運転をしないと述べており、執行猶予が相当」と述べた。(古源盛一)

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