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日大三―県岐阜商 五回裏県岐阜商2死一、二塁、適時打を放つ坂口。捕手竹中=大山貴世撮影
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 (21日、第107回全国高校野球選手権大会準決勝 日大三4―2県岐阜商 延長十回タイブレーク)

 序盤の膠着(こうちゃく)状態を破ったのは、主軸の一振りだった。

 1―1で迎えた五回裏2死一、二塁。坂口路歩(ろあ)選手(3年)は、「絶対に決める」とバットを強く握った。2球目を振り抜くと、右前適時打になり追加点を挙げた。「流れを引き寄せたかった。4番の意地です」

 祖父と父も同校の野球部出身。小学1年で野球を始めたときから、目標は「県岐阜商で甲子園に行くこと」だった。昨年、一昨年は県大会で敗れ、最後の夏に夢をかなえた。

 準々決勝の横浜戦では延長十一回にサヨナラ安打を放ち、チームを4強に導いた。この日も延長戦に突入し、2死一、三塁の好機を迎えたが、直前の3番打者が一ゴロに倒れ、試合終了。試合後、「ここまで勝ち上がれるとは思っていなかったし、全員が力を出し切ったのですがすがしい気持ち。でも、どうせならあと2勝して日本一になりたかった」と唇をかんだ。

 卒業後は、アメリカへ留学する予定で、本格的に野球をするのは今年が最後になる。その後は、父が営む衣料プリントの会社を継ぐつもりだ。「バットは置くけれど、仲間のために一生懸命やることなど、野球から学んだことをこれからの人生に生かしたい」

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