健大高崎―京都国際 一回裏京都国際1死一、三塁、清水は先制スクイズを決める=西岡臣撮影

智弁和歌山前監督・高嶋仁の目

 (13日、第107回全国高校野球選手権大会2回戦 京都国際6―3健大高崎)

 今春の選抜4強の立役者となった健大高崎の左腕下重賢慎投手から序盤に4得点。京都国際打線のしたたかさが光りました。

 一回、先頭の左打者、長谷川颯選手が中堅左へ安打。遊撃手の頭上をライナーで越える、左腕攻略のお手本のような打撃でした。2番がスリーバント失敗でムードがしぼみかけたところ、すかさずベンチが動きます。

 3番小川礼斗選手の打席。カウント2ボールからヒットエンドラン。相手投手が必ずストライクをとりにくる絶好のカウントでした。右前安打で一、三塁とし、4番清水詩太選手の初球に意表を突くセーフティースクイズです。捕手の前、一塁寄りにしっかり決めました。

 相手としたら、まさか4番打者が初球にスクイズとは思わないでしょう。無警戒の隙を突きました。

 セーフティースクイズは通常のスクイズと違って、投球を外されても走者が憤死する危険は少ない。その半面、三塁走者のスタートが大事です。バントも投手正面ではいけない。京都国際は相当練習してきたんやと思います。

 これが上手だったのが、かつてのPL学園(大阪)でした。僕も監督時代、何度かやられた記憶があります。普通のスクイズと違うのでなかなか防げなかったですね。

 逆転された直後の三回は左打者の山口桜太選手、猪股琉冴選手が連続適時打。いずれも左肩を開かず、ジャストミートしました。

 昨夏の全国制覇は中崎琉生投手、西村一毅投手の両左腕が光りましたが、今年は攻撃力も増したように思います。

 計4安打に終わった健大高崎ですが、三回の攻撃は鮮やかでした。石田雄星選手が一塁側へのドラッグバント。これが西村投手の失策を誘い、動揺をついて一挙3点で一時は逆転しました。中盤以降、やや淡泊な打撃になったのが悔やまれます。

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