虐待事件があった犬舎から運び出された犬たち。県警や松本市が引き取った犬以外のほとんどは、埼玉県のペットオークション運営会社を通じて動物愛護団体などのもとに渡った=2021年9月8日、埼玉県上里町、太田匡彦撮影
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 長野県松本市でペット用に繁殖された400匹を超える犬が虐待された事件で、動物愛護法違反罪などに問われた元繁殖業者の男(63)に懲役1年執行猶予3年、罰金10万円の有罪判決が言い渡された。男の元から保護された犬を一時的に預かった施設の経営者は当時の犬の状態について「糞尿(ふんにょう)にまみれ、劣悪な飼育環境だったのだとひと目でわかった」と振り返る。ペットを買い求める人にも知ってほしいことがあるという。

 松本市に隣接する安曇野市に保護犬・猫の常設譲渡施設「あづみ野HUB(ハブ)」がある。2022年にオープンした。

 4月、施設内の柵の中には元気に動き回る犬が2匹いた。繁殖の役目を終え、引き取り手を待つ犬たちだった。経営者の降籏(ふるはた)弘雄さん(78)は「動物に関する悩みがあれば気軽に立ち寄れる、地域の家庭医を目指している」。動物病院の分院も兼ねていて、トリミングやしつけ方の指導も行っている。

事件が地域にもたらした衝撃

 「あんな可哀想な事件はない…

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