Smiley face
写真・図版
「はるのおがわコミュニティパークトイレ」=東京都渋谷区、中村裕撮影

 東京都渋谷区の公園にある「はるのおがわコミュニティパークトイレ」はガラス張りの「透明トイレ」だ。通電すると透明になる「瞬間調光ガラス」を使い、使用中はカギをかけることで電気を遮断し不透明にする。映画「PERFECT DAYS」(2023年、ビム・ベンダース監督)で役所広司さんが演じた主人公が日々清掃していた公園トイレ「THE TOKYO TOILET(TTT)」17カ所のひとつでもある。訪れる外国人観光客はいまだに絶えない。「かわいくてきれい」。5月に訪ねたときは、ドイツから来たという女性がうれしそうに出てきた。

 公衆トイレといえば、4K(臭い、汚い、暗い、怖い)と疎まれ、できれば使いたくないものだったはずだ。1967年生まれの筆者は、トイレにしみついたアンモニア臭がつらくて息を止めながら小便をした子どもの頃を思い出す。くみ取り式便所も珍しくなかった。便器が破壊されたり、鏡が盗まれたり、下品な落書きで汚されたり。犯罪の温床にもなったのが公衆トイレだった。

 そんな公衆トイレがいつ、どのように世界の注目を浴びる存在になったのか。

 公衆衛生を目的とした日本初…

共有