(27日、第107回全国高校野球選手権西東京大会準決勝 東海大菅生5―0国士舘)
相手の校歌を聞きながら、国士舘のエース鎌村曜平(3年)は、天を仰ぎ涙した。「つなぐことができなかった」
「任されるエース」に成長した夏だった。3回戦でシード校の国学院久我山と対戦すると、延長10回完投。タイブレークで、無死満塁のピンチをしのぎ、サヨナラ勝ちに導いた。
その後は全試合に登板。流れを呼び込む投球で、5戦連続逆転勝ちの原動力になった。
準決勝は今大会無失点の東海大菅生。序盤に点差をひろげられたくないと、箕野豪監督から先発に指名された。前半、内角への直球を中心に3者連続三振を奪うなど、期待通りの投球を見せた。だが、球威の落ちた終盤、失策も絡み突き放された。
帽子のつばには「繫(つな)ぐ」と書いてある。昨夏、引退した先輩からもらった言葉だ。「次の試合につなぐ。仲間にいい形でつなぐ」
決勝進出は逃したが、箕野監督は「よく投げてくれた。精神的にタフになった」とねぎらった。今大会投じた計647球は信頼の証し。その姿は、後輩たちにつなぐ。
=神宮