日本銀行本店=2025年5月、東京都中央区、土居新平撮影

 日本銀行が11日に公表した5月の国内企業物価指数(2020年平均=100、速報値)は前年同月より3.2%上昇し、126.3だった。コメ価格の高騰は続いているものの、原油価格が下がった影響で、上げ幅は4月の4.1%(改定値)から縮小。指数は昨年8月以来、9カ月ぶりに前月を下回った。

 企業物価指数は企業間で取引されるモノの価格水準を示し、消費者物価指数の先行指標とされる。品目別で影響が大きかったのは農林水産物で同42.8%上昇した。コメの肥料価格や輸送費、人件費といったコストを価格に転嫁する動きなどがあったという。

原油価格が下落

 一方、原油価格の下落に伴い、石油・石炭製品や化学製品が前月比で下落したことが全体の上げ幅の鈍化につながった。背景には、トランプ米政権の関税政策を受け、世界経済が後退するとの懸念がある。

 3月末から「ブレンド米」などとして店頭に並び始めた備蓄米は、参照しているデータが銘柄米中心のため、現段階で指数に反映されていない。日銀の担当者は「消費者の購買行動を通じ、銘柄米の価格の下落につながる可能性もある」としている。

共有
Exit mobile version