表千家北山会館(京都市北区)で開館30周年を記念した特別展が開かれている。茶の湯を大成した千利休をはじめ、室町時代から近代のさまざまな流派や流儀の茶人にまつわる茶わんや釜など前後期合わせて約120点が並ぶ。12月15日まで。
テーマは「わびと数寄(すき) 受け継がれる利休の心」。表千家などの「わび」の茶の湯と、名物道具を珍重して型にとらわれない「数寄」の茶の湯の名品を同時に楽しめる。
展示品の一つ「黒茶碗(ちゃわん) 銘 禿(かむろ)」は、利休が京の陶工・長次郎につくらせたもの。表千家に受け継がれ、利休像をまつる祖堂で50年ごとに営む遠忌(おんき)の茶事にしか使わないという。
江戸時代後期の彦根藩主で数寄大名として知られる井伊直弼(なおすけ)がつくらせた12個の薄茶器セット「月次(つきなみ)茶器」も期間中、入れ替えながら展示される。
特別展を担当した表千家の左海大(さかいひろし)宗匠は「利休さんの心が流派や流儀を超えてどのように受け継がれたかを解き明かすことで、これからの茶の湯を考えるきっかけになればいい」と話した。
月曜休館(祝休日は開館し翌日休館。10月28日は開館)。10月30、31日も休館。呈茶つきで一般2500円、高校生1千円など。問い合わせは同館(075・724・8000)。(西崎啓太朗)