丸山達也・島根県知事=2024年7月25日午後2時47分、島根県庁、垣花昌弘撮影

 国民体育大会は今年から「国民スポーツ大会」に改められた。各都道府県の持ち回りで2035年には3巡目に入る予定だ。この国スポのあり方を巡って、自治体の財政負担の重さなどを理由に、全国知事会長の村井嘉浩・宮城県知事が「廃止も一つの考え方」と問題提起し、議論が広がっている。「国民の体力向上」や「地方スポーツの振興」を掲げる国スポはこのままでいいのか。30年に開催を控える島根県の丸山達也知事に聞いた。

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 島根県に国民スポーツ大会(国スポ、旧国民体育大会)の3巡目が回ってくるのは約50年先になりますが、今と同じやり方での開催は無理だと断言します。

 国体は全国を巡り、開催費のほとんどを開催地の都道府県が負担してきました。近年の開催経費から推計すると、島根県なら大会運営費が90億円、施設整備費が140億円、競技力向上のための費用が36億円かかる見込みです。合計すると、いま島根県が持っている貯金と同じくらいです。個人に例えれば、家を買うためにためていた貯金を丸ごと使うようなものです。一方で国の補助金は5億円程度に過ぎません。

 島根県は2030年に2巡目の国スポと全国障害者スポーツ大会を開きます。この費用は何とか工面します。ただ50年後は人口が減り、社会全体が縮んでいる。お金だけではなく、市町村職員も含めて膨大なスタッフが必要です。本来の仕事をしながら応援態勢をつくり、現場対応のための責任者を派遣します。ボランティアも募らなければなりません。小さな県が対応できるかという観点なしに3巡目を検討するのは論外です。そう思い、異議を唱えました。

 3巡目のあり方は日本スポーツ協会を中心に検討されてきましたが、お金を負担する都道府県の意見を聞かなくても決められるという感覚は中央集権的かつ独善的です。全国知事会長の村井嘉浩・宮城県知事の問題提起を機に、日本スポーツ協会の遠藤利明会長から、知事会の意見も踏まえてあり方を検討する方針が示され、安心しています。

開催の意義はある、けれど…

 もちろん、スポーツを通じた…

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