誕生から50年を経て、脚光を浴びている大阪オリジナルブドウがある。愛称は「虹の雫(しずく)」。当初は果皮色の変化や色づきのむらが欠点とされたが、珍しさが注目を集め、愛称の命名後、初の出荷シーズンを迎えている。(吉川喬)
虹の雫は1粒2㌢ほどの中サイズで、種無しのブドウだ。誕生は1973年。府立環境農林水産総合研究所(環農水研)によると、当時は種無しブドウが流行しており、巨峰と種無し品種のブロンクスシードレスを掛け合わせて生み出した。
最大の特徴は、果皮色や香りが変化することだ。収穫時期などによって、果皮色は緑から黄色、薄紅色へ。香りも爽やかな香りから、甘みのあるキャラメルのような香りに変わっていく。
だが、巨峰やマスカットのように1色に染まった鮮やかな発色ではなく、当時の関係者からは「味は良いが見た目が良くない」「売れる見込みがないのでは」と評判は決して良くなかった。ブドウ栽培に使う植物成長調整剤が当時は一部の品種にしか使えなかったこともあり、ブランド化をいったんは断念。それまで育てていた試験樹を全て伐採し、府内の農家4戸に苗を試験栽培用に提供した。
その時、苗を受け取った1人が、交野市で農家を営む今堀肇さん(79)だ。「色むらがあるのはこの子(虹の雫)の性質。鮮やかな発色でなくとも味は十分おいしい」。可能性を感じ、個人で栽培を続けた。
記事の最後で、虹の雫を使った「スプーンで食べるデザートサラダ」の作り方を紹介します。
直売所ブーム 「欠点」が強みに
その後、直売所や道の駅など…