再発掘で姿を現した割塚古墳の石室と石棺=2025年2月26日、奈良県大和郡山市千日町、今井邦彦撮影

 奈良県大和郡山市まちづくり戦略課は26日、1968年の発掘調査後、埋め戻して保存していた同市千日町の円墳、割塚古墳(市史跡、6世紀前半)を再発掘し、横穴式石室や石棺が良好に保存されているのを確認したと発表した。3月2日に現地説明会がある。

 68年の調査成果によると、同古墳は直径約49メートル、高さ約4・5メートルの円墳。宅地開発のため奈良県立橿原考古学研究所が発掘調査し、朝鮮半島製とみられる耳飾りや銅鏡、玉類、馬具など、豊富な副葬品が出土した。

 78年に市の史跡に指定され、公園内で保存されてきた。しかし近年、墳丘の崩落が進み、2021年度から市が再整備に向け発掘調査を進めていた。

 昨年、古墳の石室に通じる「羨道(せんどう)」を再発掘したのに続き、今年は石室(長さ約6・6メートル、幅約3メートル)本体を調査した。

 天井を含め上半分がなく、高さ約1・4メートルまで残っている石室は、人間の頭ほどの石を敷き詰めた上に造られている。これについて、調査を担当した小野大輔学芸員は「石室や石棺の重さを支えるための地盤工事では」と推定する。

 石室中央には、二上山の凝灰岩をくりぬいて作った全長約2・7メートルの石棺が置かれ、石室、石棺とも57年前の調査からほとんど状態に変化はなかった。

 十文字健・文化財保存活用係長は「古墳近くを流れる富雄川の上流には富雄丸山古墳(4世紀後半)、下流には藤ノ木古墳(6世紀後半)と、各時代を代表する大型円墳が分布する。割塚古墳もそれと併せて評価する必要がある」と話した。

 現地説明会は3月2日正午から午後3時半まで。問い合わせは文化財保存活用係(0743・53・1759)へ。

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