札幌市の中学1年生、河合彩絢(さや)さん(13)が、暗算段位最高位の10段に合格した。勉強などとの両立にも悩みながら、6度目の挑戦で、合格者18人の難関をくぐった。「そろばんは好きだからずっと続けたい」。次の目標は、珠算段位最高位の10段の合格という。
河合さんが家の近くの「たまえ珠算塾」に通うようになったのは、小学1年生の10月。塾の前を通るたびに気になっていて、友達にも楽しいよ、と言われて通いたくなったという。段位は、珠算と暗算があり、河合さんは暗算の方が得意で力を入れてきた。
小学2年で暗算段位の準初段に合格以降、順調に昇段。昨年5月に9段に合格したが、10段の壁は高かった。2カ月に一度ある検定試験を毎回受けて、1年後の今年5月に10段の合格を果たした。担当講師は、「週2回(試験前は週3回)という通塾回数で合格したのはすごいとしか言いようがない。普通はほぼ不可能です」と話す。
暗算10段は、かけ算、割り算、見取り算の3種目(各200点満点)すべて190点以上で合格する。主催する全国珠算教育連盟によると、暗算段位の総受験者4602人のうち、10段合格者は18人だった。
河合さんは、「負けず嫌いなので、そろばんは、正解率などで勝ち負けがはっきり分かるところが好き」と話す。
小さいころから、習字や英語、水泳など多くの習い事をしてきた。パンクしそうになるたびに、どれを続けるか悩みながら決めてきた。そのなかで、そろばんはいつも一番力を入れている存在だった。
数字を見たら、頭のなかで勝手に暗算をしているという河合さん。寝る前も、頭にぱっと浮かんだ数字を足し続け、そうしていると、いつのまにか寝ているという。
一方で、授業での数学は苦手という。得意科目は英語。旅行が好きで、海外にも興味があるので、将来は外交官をなりたい職業の一つに考えている。珠算塾の先輩から生徒会が楽しいとも聞いたので、次の生徒会長に立候補したいという。「やりたいことが多くていろいろ忙しいけど、そろばんを捨てる選択肢はありません」