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無痛分娩のニーズを調べると…

 出産経験者を対象にした東京都のアンケートで、約6割が麻酔で出産時の痛みをやわらげる無痛分娩(ぶんべん)を希望していたことが分かった。一方で、費用の高さがハードルとなっていたことも判明。ニーズの高い無痛分娩を選びやすくできるよう、都は今年10月から都内の妊婦の無痛分娩費用を最大10万円助成する方針で、新年度予算案に関連経費も含めて12億円を盛り込んでいる。

  • 「妊婦の希望をかなえる」無痛分娩に都が助成、医療現場に広がる波紋

 無痛分娩をめぐる実態を把握するため、都は昨年8~10月、初めて調査を実施。2023年度以降に出産した都民を対象として、1万1364人から回答を得た。

 アンケート結果によると、回答者のうち無痛分娩をした人は35.8%で、希望したが無痛分娩を選ばなかった人は28.1%、希望しなかった人は36.0%だった。

 希望したのに選ばなかった人に複数回答可で理由を聞くと、43.1%が「帝王切開など希望通りの分娩でなかった」を選んだほか、32.8%が「費用が高い」を挙げた。「無痛分娩できる施設が近くになかった」を選んだ人も18.1%にのぼった。

 無痛分娩を希望しなかった人に理由を聞くと、27.0%の人が「費用が高いから」とした。

  • 海外と比べて広がらぬ無痛分娩 「おなかを痛めて…」が映す価値観

 都は昨年9~10月にかけて、分娩を扱う医療機関への実態調査も実施。82.1%にあたる133施設から回答を得た。

 無痛分娩に対応している施設は63.9%(85施設)。無痛分娩のために追加でかかる費用は15万円以上20万円未満が40.0%と最も多く、平均額は12万3633円だった。

 無痛分娩に対応するスタッフの体制を聞くと、麻酔科医が「0人」だった施設が23.5%(20施設)と最も多かった。また、麻酔導入以降の管理を産科医1人体制で行っている施設も38%(32施設)あった。

 費用助成により、無痛分娩を希望する妊婦が増えることも予想されるが、実施件数を増やす場合の課題として、「特に夜間帯や休日の人員が不足している」(68施設)、「麻酔科医の確保が困難」(54施設)などが挙がり(複数回答可)、スタッフの確保に課題を抱える施設が多いことがわかった。

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