試合後の取材エリアでも、涙が止まらなかった。
2021年の東京オリンピック(五輪)。バドミントン女子シングルスの日本代表・山口茜(26)は準々決勝で敗退した。
「正直、プレッシャーをいつも以上に感じて……。結果で応えられなくて、すごく悔しいです」
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新型コロナウイルスの影響で開催が1年延期された大会だった。
感染者数の減少が見られない中で、五輪の「強行」に反対の声もあがった。しかも、原則無観客での開催。「スポーツに何ができるのか」と悩んだ。
たどり着いた考えは、シンプルだった。
「お世話になっている人たちが喜んでくれることは何かと考えたら、一番わかりやすいのは結果を出すこと」
ところが、大会が始まってみると自分のプレーができなかった。気付かぬうちに表情はこわばった。
テレビを通して山口の変化に気付いた友人からは「自分のためにやっておいで」とLINEでメッセージが届いた。それでも、開き直れなかった。
「(見ている人を)勇気づけたいとか、いろいろ考えすぎた」。力を出し切れずに敗れた悔しさを抑えることができなかった。
結果を出すためにコートに立つ。
それは、バドミントンに出会ったときからの信念とは少し違った。
楽しむ――…