西畑保さん(右)と西畑さん役の笑福亭鶴瓶さん=奈良県大和郡山市筒井町の県中央卸売市場
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 読み書きができなかった自身を支えてくれた妻に、夜間中学で習った字で感謝の手紙をつづった奈良市の西畑保さん(88)をモデルにした映画「35年目のラブレター」の制作が進んでいる。3月下旬には、奈良県中央卸売市場(大和郡山市)をロケ地にした撮影があった。

 映画では、西畑さん役を笑福亭鶴瓶さん、妻皎子(きょうこ)さん役を原田知世さんが演じ、夜間中学で一から文字を学び直し、妻にラブレターを書こうと奮闘する西畑さんの姿を描く。監督は、映画「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」(2008年)や「今日も嫌がらせ弁当」(19年)を手がけた塚本連平さん(61)で、脚本も担当する。

 3月22日は午前6時ごろから、鶴瓶さんが市場で魚を仕入れるシーンの撮影が始まった。市場関係者役のエキストラでごったがえす中、鶴瓶さんが仲卸業者役との間で軽妙なやりとりを披露。数回の撮り直しを経て塚本監督の「カット」の声が響いた。

 県中央卸売市場は、すし職人だった西畑さんが実際に仕入れに来ていた場所。撮影には西畑さんも訪れ「毎日朝5時には来ていた」と現役時代を振り返り、鶴瓶さんとも言葉を交わしていた。

 西畑さんが妻に送ったラブレターの話は、21年に鶴瓶さんの弟子の笑福亭鉄瓶(てっぺい)さんが落語にした。映画は25年3月7日の全国公開が決まっている。(神田剛)

文字が書けないことがばれた時、妻がかけた一言は

 西畑さんは和歌山・熊野川で暮らしていた小学生の時、樹皮を売ってためたお金を盗んだものと決めつけられ、ひどいいじめに遭った。以来、学校へは通うことができなくなった。

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