2階建て民家の上に、不釣り合いな鉄塔が突きだしている。
三重県桑名市の旧長島町。レンタカー会社相談役、加藤良雄さん(77)が2011年の東日本大震災後、中古の鉄材を集めて組み立てた津波避難タワーだ。地上から高さ10メートル以上ある。
「あの水が怖いんだよ」と語る加藤さん。約300メートル先が長良川だ。夏の日差しに水面がキラキラと光る。
- 濁流が奪った幼い命 悲劇繰り返さぬため、語り継ぐ伊勢湾台風の記憶
- 「お母さん!」暗闇に響いた叫び声 忘れられない超大型台風の夜
その原体験は1959年9月の伊勢湾台風だ。上陸時の中心気圧が929・6ヘクトパスカルという超大型の台風だった。
みるみる沈んだ足 今も鮮明な65年前の記憶
9月26日夜、高潮で堤防が…