日本腎臓学会の調査結果を発表する猪阪善隆・大阪大教授=2024年6月30日、横浜市

 小林製薬(大阪市)の紅麴(こうじ)原料を使用したサプリメントの問題で、日本腎臓学会は30日、サプリ摂取後に医療機関を受診した患者206人の分析結果を発表した。治療後の経過を確認できた105人のうち、依然として8割超の患者で腎臓の機能低下が続いていることが明らかになった。

 同日、横浜市内で開かれた学会学術総会のシンポジウムで発表された。4月末までの中間報告に症例を加え、治療後の経過について5月末まで調査していた。

 患者の年齢は50代が38%、60代が32%、40代が16%だった。女性が67%を占めた。

 多くの患者で腎臓の中にある尿細管という部分がダメージを受けることで起こる「ファンコニー症候群」を疑う症状や検査結果がみられた。2割近くがステロイド薬による治療を受けていた。

 腎臓の組織を調べる腎生検を実施した110人のうち、47%が尿細管間質性腎炎を、28%が尿細管壊死(えし)を起こしていた。

 治療後の経過を調査できた105人についてみると、腎機能低下の指標となるeGFRが60を下回る患者が、85.7%に上った。調査を担当した学会副理事長で大阪大の猪阪善隆教授(腎臓内科)は「多くの人たちに慢性腎臓病がまだまだ残っている状態だ」と指摘した。

 また、死亡した90代女性の…

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