TERRAさん(左)と森釗さん=名古屋市中区の俳優館

 広島で被爆した少年・中岡元が原爆孤児の仲間らとたくましく生き抜く様子を描いた漫画「はだしのゲン」。ゲンを現代によみがえらせ、平和を願う祖父とその思いを継ぐ孫が共演する最後の舞台が8月6日から名古屋市で開かれる。

 舞台は86歳になった中岡元(ゲン)が、広島市の平和記念公園に立っているところから始まる。

 《見ての通り老人です。…中岡ゲンのわたしは今も生きています。…みなさんに、子どもだったゲンが、79年前にこの目で見、心に感じたことをお話ししようと思います》

 ゲンより2歳年上、1935年生まれの森釗(つとむ)さん(88)がそう語ると、「一人語り&ソング&バイオリン演奏による『はだしのゲン』」がスタートする。バイオリン演奏で支えるのは1991年生まれで、「TERRA」の名で活動する孫の渋川卓思(たかし)さん(33)だ。

故・中沢啓治さんに直接交渉

 舞台を企画した森さんは9歳の時、疎開先の愛知県蟹江町で終戦を迎えた。自宅のあった名古屋市中心部に戻ると辺り一帯は焼け野原。食糧難でおなかをすかせていたこともあった。ゲンと変わらない子どもの時、戦争に巻き込まれた。

 「無実の子どもが戦争に巻き…

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